営業 | 提案書をAIで作り切る3段階の実手順(プロンプト全文つき)
SUMMARY
この記事でわかること
ツール紹介で終わらせず、架空の在庫管理SaaSを商材に構成生成→本文→スライド化の3段階で提案書を1本作り切ります。プロンプト3本は全文掲載、参考例つき(実行記録未確認)。
2026-10-09更新: 本文の根拠・説明条件と停止中のニュースレター案内を見直しました。個別の出典確認は本文に示す範囲で、AIの実行・効果を新たに検証したものではありません。
2026-10-08訂正: 旧稿に記載したモデル名・実行日・「実行/検証済み」という説明に対応する元ログを確認できていないため、それらの断定を撤回しました。以下のプロンプトと掲載例は、手順を検討するための参考資料です。特定モデルの実行結果や効果の実測値としては扱わず、利用する環境で再実行し、数値・出典を確認してください。画面の内容確認日は訂正を含む本文・表示の確認日を示し、モデルを実行して検証した日ではありません。
水曜の21時、金曜の商談に出す提案書がまだ白紙。過去の提案書を開いて社名を置き換え、構成を考え直しているうちに日付が変わる。提案書づくりに毎週2時間以上使っている営業なら、身に覚えのある夜だと思います。
この記事では、その作業を「構成生成」「本文ドラフト」「トンマナ調整とスライド化」の3段階に分解し、AIで提案書を1本まるごと作り切る手順を参考例で説明します。編集部が架空のSaaS商材を設定し、3本のプロンプトと参考例(実行記録未確認)をそのまま掲載します。プロンプトはコピーしてそのまま使えます。
ツール紹介記事では提案書が完成しない理由
「提案書 AI」で検索して出てくるツール一覧を眺めても、目の前の提案書は1文字も進みません。検索上位は「おすすめツール9選」の型がほとんどで、選んだ後に何をどう入力すれば提案書が完成するのかは書かれていないからです。
もう一つの落とし穴が丸投げプロンプトです。「〇〇社向けの提案書を作って」と1本で投げると、当たり障りのない骨子が返ってきて、結局ゼロから書き直すことになります。原因はAIの能力ではなく、構成の意思決定・本文の肉付け・相手に合わせた言い換えという別々の作業を、一度に押し付けていることにあります。人間が分けてやっている作業はAIにも分けて渡す。この記事の原則はそれだけです。
なお、提案書以外も含めた営業業務全体のAI活用マップは営業のためのAIエージェント活用ガイドで整理しています。この記事はそのうち提案書だけを深掘りします。
結論: 構成生成→本文ドラフト→スライド化の3段階で作り切る
提案書は「構成生成」「本文ドラフト」「トンマナ調整とスライド化」の3段階に分けると、AIで最後まで作り切れます。各段階でAIに渡すもの、返ってくるもの、人間に残る仕事は次の通りです。
| 段階 | AIに渡すもの | 返ってくるもの | 人間の仕事 |
|---|---|---|---|
| 1. 構成生成 | 商材情報とヒアリング内容 | スライドごとの目的とキーメッセージ | 構成の取捨選択 |
| 2. 本文ドラフト | 確定した構成案 | 各スライドの本文と口頭補足 | 事実確認・数字の差し替え |
| 3. トンマナ調整 | ドラフトと決裁者の人物像 | スライドに貼れる圧縮済みテキスト | 最終チェックと体裁 |
今回の検証条件を先に示します。
- 実行記録: モデル・実行日の元ログは未確認
- 商材: 編集部が設定した架空の中小製造業向けクラウド在庫管理SaaS「ストックハブ」。実在の企業・製品・商談とは無関係です
- 提案先: 従業員80名の金属部品加工メーカーという架空の設定
段階1の質は、商談前にどれだけ聞けているかで決まります。ヒアリング項目の設計は商談準備をAIで済ませる手順にまとめました。
段階1: 構成生成プロンプト(全文)と出力
段階1のゴールは、スライド1枚ごとに「目的」と「キーメッセージ1文」が書かれた構成案を手に入れることです。本文はまだ書かせません。手順を試すためのプロンプトの全文がこちらです。
あなたはBtoB SaaSの営業企画担当です。以下の情報をもとに、提案書の構成案を作ってください。
# 商材
クラウド在庫管理SaaS「ストックハブ」(架空の商材です)
- 対象: 従業員50〜300名の中小製造業
- 機能: バーコード棚卸、リアルタイム在庫照会、発注点アラート、基幹システムCSV連携
- 価格: 初期費用10万円、月額5万円(50ユーザーまで)
- 導入期間: 最短1か月
# 提案先
従業員80名の金属部品加工メーカー(社名はプロンプトに入れない)
- 現状: Excelと紙の現品票で在庫管理。棚卸は年2回、毎回3日かかる
- 課題: 欠品による納期遅延が月2〜3件。過剰在庫で倉庫が逼迫
- 決裁者: 製造部長。現場出身で、ITツールの導入には慎重
- 商談の経緯: 展示会で名刺交換し、初回訪問でヒアリング済み
# 依頼
- スライド10枚以内の提案書構成案
- 各スライドについて「タイトル / 目的 / キーメッセージ1文」を書く
- 決裁者が現場出身であることを踏まえ、費用対効果と現場負担の低さを軸にする
参考例(実行記録未確認)です。
ご提案書 構成案(全9枚)
1枚目 表紙
目的: 提案の主題を課題の言葉で示す(製品名を主役にしない)
キーメッセージ: 棚卸3日を1日に。納期遅延を止める在庫管理の再設計のご提案
2枚目 本日のご提案の要点
目的: 決裁者が最初の1分で投資判断の枠組みをつかめるようにする
キーメッセージ: 月額5万円の投資に対し、回収の柱は棚卸工数の削減と納期遅延の抑止の2本です
3枚目 現状の確認(ヒアリングより)
目的: 前回伺った内容を正確に再掲し、認識のズレを先に潰す
キーメッセージ: 在庫情報がExcelと現品票に分かれ、帳簿と実在庫のズレを月次でしか補正できていません
4枚目 課題の構造
目的: 欠品と過剰在庫という別々の症状を、単一の原因に束ねる
キーメッセージ: 欠品も倉庫の逼迫も、原因は「在庫の今の数字を誰も見られない」ことにあります
5枚目 解決の方向性
目的: 製品説明の前に、目指す業務の姿だけを先に合意する
キーメッセージ: 入出庫をその場でバーコード記録し、現場と事務所が同じ数字を見る状態を作ります
(中略: 6枚目は方向性に対応する3機能のみの紹介、7枚目は導入スケジュール、8枚目は費用と回収の考え方)
9枚目 次のステップ
目的: 決裁を待たずに動ける小さな一歩を提示する
キーメッセージ: まず倉庫1か所・1か月の試験導入で、棚卸時間の変化を実測しませんか
ここでの人間の仕事は、この構成を商談の実態に合わせて削り、直すことです。たとえば「6枚目の機能紹介を3機能に絞る」と修正を指示できます。掲載例の「棚卸3日を1日に」は架空の数値であり、実際の提案に使う場合は裏付けのある数値へ置き換えてください。
段階2: 本文ドラフトプロンプト(全文)と出力
段階2では、確定した構成案を同じ会話の中で渡し、各スライドの本文と口頭補足を書かせます。プロンプト全文です。
先ほどの構成案を、6枚目の機能紹介を3機能に絞る修正だけ入れて確定します。
この構成で、各スライドの本文ドラフトを書いてください。
# 出力形式(スライドごと)
- スライド上の見出し(名詞だけの見出しにせず、主張が伝わる文でよい)
- 本文(です・ます調、150字以内。数字はヒアリング内容にあるものだけを使う)
- 口頭で補う一言(スライドには書かず商談で話す内容。1文)
# 制約
- 確認できていない数字を作らない。仮の数字が必要なら「(要確認)」を付ける
- 競合他社への言及や比較をしない
- 機能の説明は「それで現場の何が変わるか」とセットで書く
参考例(実行記録未確認)です。9枚分の掲載例のうち、2枚目と4枚目を参考例として載せます。
2枚目 ご提案の要点
見出し: ご提案の要点
本文:
在庫管理をExcelと現品票からクラウドに移し、棚卸と欠品対応の工数を減らすご提案です。費用は初期10万円と月額5万円。回収の柱は、年2回・毎回3日かかる棚卸の短縮と、月2〜3件の納期遅延の抑止の2つです。効果は導入後1か月の試験期間で実測し、そのうえでご判断いただけます。
口頭で補う一言: 本日は導入のご決断ではなく、試験導入の枠組みにご納得いただくことをゴールにしています。
4枚目 課題の構造
見出し: 欠品と過剰在庫は、同じ原因から起きています
本文:
現品票の記録がExcelに転記されるまで、平均2〜3日(要確認)の時間差があります。この間、帳簿在庫は実在庫からずれ続けます。ずれを見込んで多めに発注すれば過剰在庫に、見込みが外れれば欠品になります。両者は別の問題ではなく、「今の在庫数を誰も正確に知らない」という一つの状態の裏表です。
口頭で補う一言: 転記という作業そのものをなくすのが、今回のご提案の中心です。
(中略: 1・3・5〜9枚目も同形式で作成する想定。掲載例に対応する実行記録はなく、同じ出力の再現は保証できません)
注目してほしいのは4枚目の「平均2〜3日(要確認)」です。プロンプトの制約が効いて、AIが作った仮の数字に印が付いています。段階2での人間の仕事は、この(要確認)を現場ヒアリングの実数に置き換えること。ここを放置したまま商談に持ち込むのが、AI提案書の一番危ない事故です。
段階2のようなドラフト系プロンプトの別パターン(見積もり説明、導入事例の書き方など)は営業プロンプト20選に揃えています。
段階3: トンマナ調整とスライド化プロンプト(全文)と出力
段階3では、決裁者の人物像に合わせて語彙を調整し、スライドに貼れる分量まで圧縮します。文章の提案書をそのまま貼るとスライドが文字で埋まるので、この段階を挟みます。プロンプト全文です。
このドラフトを、提案先の決裁者に合わせて調整し、スライドに貼れる形に圧縮してください。
# 決裁者の人物像
現場出身の製造部長。過去にITツール導入で現場が混乱した経験があり、横文字の多い資料を信用しない。数字と段取りの話には乗ってくる。
# 調整の指示
- カタカナのIT用語を日常の言葉に置き換える(例: リアルタイム→その場で)
- 各スライドを「見出し1行 + 箇条書き3点以内 + 補足1文」に圧縮する
- 箇条書きは1点30字前後。体言止めと文を混ぜてよい
- 効果を約束する言い方を避け、「試験導入で実測する」という言い方に統一する
- 見出しは主張が伝わる文にする
参考例(実行記録未確認)から、4枚目を参考例として載せます。
4枚目 欠品と過剰在庫の原因は同じです
・現品票からExcelへの転記に時間差があり、その間は帳簿と実物の数が合わない
・数が合わないから多めに頼む。読みが当たれば倉庫が埋まり、外れれば欠品
・「今の在庫数がその場で分かる」状態を作れば、両方を同時に減らせる
補足: 転記の時間差は御社の現場で実測し、試験導入の報告に反映します。
(中略: 他の8枚も同形式で出力)
スライド化の実務はシンプルです。この形式ならPowerPointに1枚ずつ貼るだけで体裁が成立します。Microsoft 365環境ならPowerPointのCopilotに、そうでなければGammaのようなスライド生成ツールにこのテキストを渡す方法もあります。ただし編集部ではスライド生成ツール側の仕上がりは未検証です。
検証方法の例(結果未掲載): 段階3の出力をPowerPointのCopilotとGammaに渡し、レイアウト崩れの箇所数と手直しの所要時間を比較する。編集部での実施・結果を示すものではありません。
Before-After: 同じスライドがどう変わったか
3段階を通すと、150字の説明文が「現場の言葉で書かれた3行」に変わります。4枚目のBeforeとAfterを並べます。
Before(段階2のドラフト):
現品票の記録がExcelに転記されるまで、平均2〜3日(要確認)の時間差があります。この間、帳簿在庫は実在庫からずれ続けます。ずれを見込んで多めに発注すれば過剰在庫に、見込みが外れれば欠品になります。両者は別の問題ではなく、「今の在庫数を誰も正確に知らない」という一つの状態の裏表です。
After(段階3の調整後):
・現品票からExcelへの転記に時間差があり、その間は帳簿と実物の数が合わない ・数が合わないから多めに頼む。読みが当たれば倉庫が埋まり、外れれば欠品 ・「今の在庫数がその場で分かる」状態を作れば、両方を同時に減らせる
変わった点は3つです。段落が箇条書きになり、スライドで読める分量になったこと。「発注すれば」が「頼む」になるなど、語彙が現場の言葉に寄ったこと。未確認だった転記の時間差が、断定でなく「実測して報告する」という約束に置き換わったこと。3つ目は「効果を約束しない」という調整意図に沿う表現例ですが、実際のモデルへの指示と出力を確認した記録ではありません。
ツール別の得手不得手
3段階すべてを1つのツールで済ませる必要はなく、文章はチャット型AI、スライド化は資料側のツールと分けるのが現実的です。編集部の整理は次の通りです。
| ツール | 向いている工程 | 見解 |
|---|---|---|
| Claude | 段階1〜3の全部 | 構成案・本文・文体の調整を試す候補。掲載例の実行記録は未確認 |
| ChatGPT | 段階1の壁打ち | 構成を対話で崩して練り直す往復が速い |
| Gemini | 段階2の入力づくり | 長い議事録や資料を読ませてヒアリング内容を整理する用途 |
| Copilot | スライド化 | PowerPointとの連携を検討する場合の候補。対応機能と必要な契約を確認する |
すべての行は活用方法を検討するための見解で、Claudeを含む各ツールの実行記録・同条件の比較結果は未確認です。
検証方法の例(結果未掲載): 本記事のプロンプト3本をChatGPT・Gemini・Copilotでも同条件で実行し、構成の粒度と本文の具体性を比較する。編集部での実施・結果を示すものではありません。
作成時間はどこまで縮むか
作成時間の短縮幅は従来手順と同条件で計測する必要があります。編集部での測定開始や結果を確認した記録はなく、検証できた結果が得られた場合に追記します。現時点で「〇割削減」といった数字を書かないのは、実測していないものを書かない方針のためです。
検証方法の例(結果未掲載): 同一商材・同一ヒアリング内容で「テンプレ流用の手作業」と「AI3段階」の2通りで提案書を作成し、着手から商談投入可能な状態までの所要時間を計測する。編集部での実施・結果を示すものではありません。
計測の設計だけ先に共有しておくと、比較すべきは「AIの応答が速いか」ではなく「(要確認)の潰し込みや手直しを含めた総所要時間」です。ドラフトが数分で出ても、直しに1時間かかるなら意味がありません。読者が自分の業務で測る場合も、手直し時間まで含めることをおすすめします。
社外秘情報をプロンプトに入れない書き方
提案書プロンプトから顧客の実名と未公開情報を外しても、出力の質はほとんど落ちません。今回のプロンプトも「従業員80名の金属部品加工メーカー」としか書いていませんが、構成にも本文にも支障は出ていません。入力前の置き換えルールを4つ決めておけば足ります。
- 社名は「業種 + 従業員規模」に置き換える
- 担当者・決裁者は氏名を入れず、役職と人物像だけ書く
- 顧客から聞いた未公開の数字は入力しない。練習は架空の数字を使い、実務データは利用目的・契約・社内規程に照らして許可された範囲に限る
- 自社の未公開価格や原価は入れず、提示予定の価格だけ書く
氏名を外すのは営業マナーの話ではなく法律の話です。取引先担当者の氏名は個人情報保護法上の個人情報に当たり、無断でAIツールに入力すると社内規程や取引先との秘密保持契約に抵触するおそれがあります。あわせて、使うツールの入力データが学習に使われない設定(法人プランやオプトアウト)になっているかを確認してから始めてください。
完成した提案書を送るメールにも同じ注意が要ります。送付メールの書き方と特定電子メール法の注意点は営業メールをAIで書く手順にまとめました。
よくある質問
無料プランのAIでも同じ手順で作れますか?
作れます。手順とプロンプトは有料・無料で変わりません。ただし3段階を1つの会話で通すため、無料プランでは会話の長さやメッセージ数の上限に当たりやすくなります。上限に達したら、確定済みの構成案と直近のドラフトだけを新しい会話に貼り直して続けてください。
3段階は必ず1つの会話でやるべきですか?
基本は1つの会話です。段階1で渡した商材情報とヒアリング内容が、段階2・3の出力の質を支えているからです。会話が長くなって応答の精度が下がってきたと感じたら、前段の確定物を貼り直して新しい会話に移る方が早く終わります。
顧客名をうっかり入力してしまったら?
追加の入力・共有を止め、入力日時、サービス、データの種類、公開・共有設定などを社内の情報管理窓口へ速やかに報告してください。証跡を保全したうえで、窓口の指示に沿って共有停止・削除依頼等を行います。会話を消しても提供先からの完全消去や影響解消は保証されません。学習利用が無効でも、保存・閲覧・委託等の条件を確認する必要があります。漏えい等の報告・本人通知の要否は、担当窓口が事実関係と法令に沿って判断します。
AIで作ったことを顧客に伝えるべきですか?
ドラフト作成にAIを使ったこと自体を開示する義務はありません。提案書の数字と事実に自分で責任を持てることが前提です。逆に、(要確認)を潰し切れていない提案書は、AI利用の有無にかかわらず出すべきではないと思っています。
ニュースレターの新規登録は現在停止しています。最新記事は記事一覧またはRSSで確認できます。
入力情報を扱う際は、利用目的・利用規約・社内規程・委託や第三者提供の条件を確認してください。氏名の置換や学習利用の停止だけで全条件を満たすとは限りません。個人情報保護委員会の生成AI利用に関する注意喚起